日本人の生活に密接した道具
"棚からぼた餅"といえば予期しない幸運が舞い込んでくること。また、"自分のことを棚に上げる"とは他人に厳しく自分には甘いことのたとえ。こうした棚にたとえたことわざを見ても、棚が日本人にとって身近な家具の一つであったことがうかがえます。
かつて、日本の民家の多くには床の間がありました。その脇の壁には、香炉や硯(すずり)、筆などを置くための「違い棚(ちがいだな)」と呼ばれる、互い違いに上下二段に組んだ飾り棚が設けられていました。こうした棚は、物を仕舞うための実用品としてだけでなく、それ自体が"飾り"としての役目を持った"粋な"ものでした。
また、床の間には「天袋(てんぶくろ)」と呼ばれる、現代の押し入れの上部にも見られる、いわゆる「戸棚」が設けられていました。これらの棚は、和室における建造物の一部として重要な役目を果たしていたのです。
茶道とともに発展
"道具"としての棚は、日本では茶道とともに発展してきました。平安貴族の間で器を置くための「二階棚(にかいだな)」や、日用品として使われてきた「二階厨子(にかいずし)」などが、鎌倉時代に入り茶道のための道具として使われ始めました。
二階棚とは、四角いテーブルの下に板を張り付けたような形の小さな棚のこと。厨子とは、元々は仏像などを収める扉の付いた入れ物のことで、棚の下に扉の付いている棚を二階厨子と呼びます。
また、茶道の際に茶道具を置く棚を"棚物(たなもの)"と呼びます。畳に付く下の棚を「地板(じいた)」、上の板を「天板(てんいた)」、中間に板がある場合は「中板(なかいた)」といい、いずれの棚物も2段または3段の棚板で作られています。こうした"棚物"は、実用的な役割と同時に、水指や茶入れなどの茶道具を美しく飾るインテリア的な役割を持った道具として使われてきました。
現代にも受け継がれる棚の使い方
茶道の"棚物"の使い方は、現在でも趣味のコレクションを収納したり飾ったりするための棚の使い方として大きなヒントになります。茶道の"棚物"は裏面に板がなく開放感があって、茶道具を美しく見せています。同様に現代の棚においても、裏板のない棚を使えばよりオープンな感じでコレクションなどを美しく飾ることができます。裏面に板のない棚には空間的な圧迫感がないので、壁から離して部屋の空間の中で間仕切りの代わりに使うこともできます。
棚.comでは、オープンな棚をはじめ、扉付きの棚、木製棚、スチール棚、空間に合わせて自由にレイアウトできるユニットタイプの棚など、豊富な種類の棚を扱っています。アイデア次第でさまざまなコーディネートをお楽しみください。
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裏板のない棚は奥に広がりを感じることができますので、収納物をより立体的に感じることができます。 |
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